血液曝露事例への対応の質的管理 ★

2006.07.31

Quality control for handling of accidental blood exposures


P.Th.L. van Wijk*, M. Pelk-Jongen, C. Wijkmans, A. Voss, P.M. Schneeberger
*Jeroen Bosch Hospital, The Netherlands
Journal of Hospital Infection (2006) 63, 268-274
標準化されたプロトコール基づいてあらゆる血液曝露事例に対処することを目的に、地域のカウンセリングサービスを設立した。アルゴリズムを用いてリスクの程度を評価した。B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、およびヒト免疫不全ウイルス(HIV)の伝播リスクのある事例を「高リスク」に分類して、HBVリスクのみの事例は「低リスク」に分類した。リスクの程度に応じて医療介入を行った。1年間にわたりすべての事例を登録し、標準プロトコールの遵守を分析した。2003年に施設が扱った事例は454件であった。このうち36件(7.9%)はリスクなし、329件(72.5%)は低リスク、67件(14.8%)は高リスクと評価された。登録が不完全であったため22件(4.8%)は分類が不可能であった。全体で、HBV伝播リスクのある事例の36%、HCVおよびHIVの伝播リスクのある事例の40%で指定のプロトコールに基づく処置が行われていなかった。プロトコール違反には、対応が不十分なもの(123/396)と過剰なもの(25/396)があった。HIV曝露後の予防については、63件の事例のうち12件で治療が不十分である可能性があった。63件中11件でHCVの追跡調査が不完全であり、396件中5件でHBV免疫グロブリンが投与されず、これには3件の高リスク事例も含まれた。396件の低リスク曝露のうち21件では、報告が遅れるプロトコール違反があった。標準作業手順を用いても、容認可能なレベルの標準的ケアを実施することは困難である。システムの改善のために不備な点の調査と評価が不可欠である。
サマリー 原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
医療従事者の血液・体液曝露に際して、曝露後予防策を含むフォローアップが不十分となり得ることを示した報告であり、職業感染対策ではさらに改善すべき点が少なくないことを示している。

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