安全装置の使用とガイドライン遵守率の向上により報告されている医療従事者の針刺損傷を防止する可能性:専門委員会の評価

2006.08.30

Potential for reported needlestick injury prevention among healthcare workers through safety device usage and improvement of guideline adherence: expert panel assessment


B.L. Cullen*, F. Genasi, I. Symington, J. Bagg, M. McCreaddie, A. Taylor, M. Henry, S.J. Hutchinson, D.J. Goldberg
*Health Protection Scotland, UK
Journal of Hospital Infection (2006) 63, 445-451
全国保健サービス(National Health Service;NHS)スコットランドの職員が被った業務上の針刺損傷の報告のうち、安全装置の導入、ガイドライン遵守率の向上、ガイドライン改定、またはこれらのいずれかの組み合わせにより防止できた可能性がある例の比率を推定するために、6カ月にわたる前向き調査を実施した。この調査では、医療従事者に質問票を送付したほか、専門委員会による評価も実施した。すべての急性期医療およびプライマリ・ケアのNHSスコットランドトラスト、スコットランド救急サービス、スコットランド国立輸血サービスを対象とした。医療従事者が報告した損傷の64%(1,497件中952件)において質問票および専門委員会の評価データが利用可能であり、これらの損傷はすべて経皮的であった。専門委員会の結論は以下のとおりである。全損傷の56%および静脈穿刺または注射時の損傷の80%は安全装置の使用により、おそらくまたは確実に防止できたはずであり、全損傷の52%と静脈穿刺または注射時の損傷の56%はガイドラインの遵守により、おそらくまたは確実に防止できたはずであり、全損傷の72%と静脈穿刺または注射時の損傷の88%はいずれかの介入により、おそらくまたは確実に防止できたはずである。多因子解析では、静脈穿刺または注射時に受ける損傷は他の損傷よりも安全器材使用により防止できる可能性が有意に高く[それぞれ、補正オッズ比(OR)5.09、95%信頼区間(CI) 3.11~8.31;補正OR 2.70、95%CI 1.64~4.45]、ガイドライン遵守により防止できる可能性は有意に低い(それぞれ、補正OR 0.26、95%CI 0.11~0.60;補正OR 0.31、95%CI 0.12~0.78)ことが示された。手技の終了後に受ける損傷は、安全器材の使用およびガイドライン遵守により防止できる可能性が有意に高かった。本研究の知見は、職員の針刺損傷ガイドライン遵守の改善、および静脈穿刺や注射投与用の安全器材の適切な使用の必要性を支持するものである。
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監訳者コメント:
針刺損傷の防止に安全器材が有効であることは既知の事柄であり、ガイドライン遵守も含めてその事柄を追認した研究である。

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