擦式手指消毒剤の消費量および手指消毒のコンプライアンスは集中治療室での病原体伝播の指標とはならない

2006.08.31

Hand rub consumption and hand hygiene compliance are not indicators of pathogen transmission in intensive care units


T. Eckmanns*, F. Schwab, J. Bessert, R. Wettstein, M. Behnke, H. Grundmann, H. Ruden, P. Gastmeier
*University Medicine Berlin, Germany
Journal of Hospital Infection (2006) 63, 406-411
本研究の目的は、院内感染率、手指消毒のコンプライアンス率、および手指消毒に使用した擦式アルコール製剤の消費量が、集中治療室(ICU)での病原体伝播の有用な指標であるか、および、これらが感染制御に関する問題の特定に有益であるかどうかを調査することである。48時間を超えてICUに入室した患者から、最も頻繁に認められる10菌種の病原体すべての分離株について遺伝子型を決定し、5カ所のICUにおける伝播を特定した。伝播の発生率は、手指消毒のコンプライアンス率、擦式手指消毒剤の消費量、および院内感染率と相関していた。5カ所のICUの伝播の発生率は2.8~6.8で、ばらつきがあった。院内感染率は1,000患者・日あたり8.6~22.5、手指消毒のコンプライアンスは30~47%、擦式手指消毒剤の消費量は1,000患者・日あたり57~102 Lであった。伝播の発生率と、擦式手指消毒剤の消費量または手指消毒のコンプライアンスの間に相関は認められなかった。伝播率と院内感染率の相関係数は、1を示した1カ所のICUを除き(P<0.01)、0.4であった(P=0.5)。院内感染の発生率は、病原体伝播を特定するための比較的良好な指標であるが、擦式手指消毒剤の消費量および手指消毒コンプライアンスは、少なくとも本試験でみられた比較的低いコンプライアンスでは、病原体伝播の指標とはならない。
サマリー 原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
この論文のタイトルは、非常に大きな誤解を与える懸念がある。監訳者であれば、タイトルの最後に where handwashing compliance cannot be well maintained.と断りをいれることを忘れない。この論文の意図するところは、「あまりにhandwashing complianceが低ければ、折角の間接的指標も役には立たない」ことを示したのであり、決してアルコールゲルの消費やhandwashing complianceの程度が、伝播の制御の間接的な指標になりえないと断じているわけではないことに注意してください。

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