中国本土各地で検出された病院感染メチシリン耐性黄色ブドウ球菌分離株における優勢なハンガリークローン(ST 239-III)

2009.03.31

Predominance of the Hungarian clone (ST 239-III) among hospital-acquired meticillin-resistant
Staphylococcus aureus isolates recovered throughout mainland China diseas


B.L. Xu*, G. Zhang, H.F. Ye, E.J. Feil, G.R. Chen, X.M. Zhou, X.M. Zhan, S.M. Chen, W.B. Pan
*Sun Yat-sen University, People’s Republic of China
Journal of Hospital Infection (2009) 71, 245-255
Multilocus sequence typing(MLST)法のデータから、黄色ブドウ球菌の世界規模の疫学に関する多くの知見が明らかになったが、日本などの特別な例を除き、現在、アジアの大部分の国ではエビデンスが限られている。本研究では、2002年に中国本土で採取された病院感染メチシリン耐性黄色ブドウ球菌分離株132株を対象にMLST法を実施した。中国南部の広州にある3次病院1施設から102株が検出され、残りの30株は、全体で200万km2以上にわたる様々な地域の都市型3次病院6施設から検出された。データからは、中国本土全体では単一のクローン種ST 239が明らかに優勢であり、ST 239が分離株132株の97%を占めることが判明した。これらのデータは、中国各地の病院で広範にST 239が優勢であり、これはおそらくアジア大陸全域に拡大していることを示唆した、過去の試験からのわずかなエビデンスを支持するものである。ブドウ球菌カセット染色体mec(SCCmec)タイピングにより、ST 239分離株の均一性が確認され、その大多数はハンガリークローン(ST 239-III)に相当するものであった。
サマリー 原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
大陸的な研究である。病原菌が世界伝播する疫学調査は大変興味深い。ウイルスの領域では人類の進化をたどるツールとしてウイルス遺伝学があるが、耐性菌に関しての研究はこれからである。

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