医療器具洗浄剤によるバイオフィルム除去:バイオリアクターを用いた2種類の検出法の比較

2010.02.28

Biofilm removal by medical device cleaners: comparison of two bioreactor detection assays


R. Hadi*, K. Vickery, A. Deva, T. Charlton
*University of NSW and SIRG, Australia
Journal of Hospital Infection (2010) 74, 160-167
現在、医療器具の洗浄剤の効果を評価するための基準はない。医療器具の残留蛋白質は、プリオン伝播の恐れがあるため最小限にとどめる必要がある。ポリテトラフルオロエチレン試片に緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)バイオフィルムを形成させたバイオリアクター装置を使用した。バイオフィルムを種々の洗浄剤に浸漬し、バイオフィルムの加水分解後にクリスタルバイオレット染色法または市販の蛋白質定量法により残存バイオフィルムの検出を行った。各試験を3回ずつ実施し、バイオフィルムの減少率を非処理の対照群と比較した。残存バイオフィルム検出方法がクリスタルバイオレット染色法か蛋白質定量法であるかにかかわらず、バイオフィルム残存率に有意差は認められなかった。バイオリアクターのロッドに取り付けられた試片の処理およびロッド内の試片の位置は、洗浄効果または残存バイオフィルムの検出に有意な影響を及ぼさなかった。試験内変動および試験間変動については、10 g/L水酸化ナトリウム、Zen、および3 M Rapid Multi-Enzyme Cleaner(RMEC)70500などの優れた市販の洗浄剤では非常に小さかったが、バイオフィルム除去率が20%に満たないTween 20などの効果の劣る洗浄剤では大きかった。共焦点顕微鏡および電子顕微鏡により試験結果を視覚的に確認した。試験内変動および試験間変動のいずれもが小さかったこと、クリスタルバイオレット染色法または蛋白質定量法のどちらを用いても残存バイオフィルムの検出が可能であること、および検出装置は操作が簡便で安価かつ入手が容易であることから、本方法は外科手術器具洗浄剤のバイオフィルム除去効果を評価する試験法として適切であると考えられる。
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監訳者コメント
日本では、プリオン蛋白による汚染リスクなどすでに厚生労働省の通達により解消したという雰囲気が漂っているが、実は完全な除染は達成できてはおらず、現状での実施可能な最高レベルの方法を推奨しているに過ぎない。だから、このような蛋白除去の研究が継続されているのである。10 g/Lの水酸化ナトリウムは作業者の安全の面から病院内での仕様は向かない。現状では、ZenやRMECなどを適切に使用すれば、ほとんどの蛋白は影響のないレベルにまで除染することができそうである。
監訳者注
バイオリアクター(bioreactor):生物学的活性を調べる装置の総称。

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