台湾のある病院の集中治療室の成人入院患者におけるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(MRSA)鼻腔内保菌:一時点保菌率、分子的特性、および保菌のリスク因子★

2010.03.31

Nasal meticillin-resistant Staphylococcus aureus carriage among intensive care unit hospitalised adult patients in a Taiwanese medical centre: one time-point prevalence, molecular characteristics and risk factors for carriage


C.-B. Chen*, H.-C. Chang, Y.-C. Huang
*Chang Gung University, Taiwan
Journal of Hospital Infection (2010) 74, 238-244
2008年6月25日から7月11日までに3次ケア病院の集中治療室(ICU)に入室した合計177例の成人患者(内科ICU 94例、外科ICU 83例)を対象として、PCR法によりメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(MRSA)鼻腔内保菌のスクリーニングを行った。患者の黄色ブドウ球菌およびMRSAの鼻腔内保菌率はそれぞれ42%、32%であった。内科ICU入室患者のMRSA保菌率は、外科ICU入室患者と比較すると有意に高かった(47%対16%、P < 0.001)。多変量ロジスティック回帰分析によるMRSA鼻腔内保菌の独立予測因子は、肺炎、慢性閉塞性肺疾患、現時点のMRSA感染症、および内科ICU入室であった。分子的解析が可能であったMRSA分離株38株に合計6つのパルスフィールド・ゲル電気泳動(PFGE)型が認められて、その2つが主要な型(F型42%、A型37%)であった。MRSA分離株の半数以上は、2つの主要なクローンであるシークエンス(ST)型5/PFGE F型/ブドウ球菌カセット染色体(SCCmec)II型/パントン-バレンタイン型ロイコシジン(PVL)遺伝子陰性(34%)およびST239/PFGE A型/SCCmec III型/PVL遺伝子陰性(26%)のいずれかに属しており、これらのクローンは台湾の医療関連感染クローンと関連していた。6株(16%)はST59/SCCmec IV型あるいはVT型であり、台湾の市中流行株と関連していた。結論として、2008年6月から7月までに台湾の3次ケア教育病院のICUに入室した成人患者の32%は、鼻腔内にMRSAを保菌していた。分離株の多くは医療関連MRSA由来であったが、一部は市中流行株であった。
サマリー 原文(英語)はこちら
監訳者コメント
台湾におけるMRSAは1980年代前半から認められていたが、1990年代に急激に増加しており、2000年の調査(Hsueh PR, Liu CY, Luh KT. Current status of antimicrobial resistance in Taiwan. Emerg Infect Dis 2002;8:132-137)によれば臨床分離黄色ブドウ球菌株の53%から83%がMRSAとなっている。この論文によれば、台湾においても、市中流行型MRSA(CA-MRSA)であるST59/SCCmec IV型/PVL陰性株や ST59/SCCmec VT型/PVL陽性株がICUの中で認められるようになりつつあるようである。

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