感染制御バンドルによるパンデミックブタインフルエンザウイルス(A/H1N1)の院内感染予防

2010.03.31

Prevention of nosocomial transmission of swine-origin pandemic influenza virus A/H1N1 by infection control bundle


V.C.C. Cheng*, J.W.M. Tai, L.M.W. Wong, J.F.W. Chan, I.W.S. Li, K.K.W. To, I.F.N. Hung, K.H. Chan, P.L. Ho, K.Y. Yuen
*Queen Mary Hospital, Hong Kong Special Administrative Region, China
Journal of Hospital Infection (2010) 74, 271-277
香港では重症急性呼吸器症候群(SARS)のアウトブレイク後、呼吸器ウイルスの院内感染予防が感染制御の最優先事項として重要視されている。ブタインフルエンザウイルスパンデミックの封じ込め期および被害軽減期早期(early mitigation phase)の院内感染を最小限に抑えるために、当院の感染制御チームが一連の複数の方策で構成される感染制御バンドルをまとめた。その内容は、職員による複数回の公開勉強会(高い出席率を達成)、様々な検査による入院患者中の初発症例の早期発見、罹患職員の早期自宅待機、アウトブレイク中の手指衛生の実践の直接監視、および感染制御の実践遵守のモニタリングなどである。臨床検査によりブタインフルエンザウイルスが確認された患者の最初の100例および医療従事者の感染者12例が特定された初期100日間(2009年5月1日から8月8日まで)で、合計836例(患者184例、医療従事者652例)の無症状曝露者に7日間の医学的サーベイランスの適用が求められた。感染制御看護師が曝露者の症状発現をモニターした。4例(0.48%)の曝露者(研修医1例、非臨床医療従事者2例、および患者1例)から、ブタインフルエンザウイルスがウイルス学的に確認された。初発患者と接触中の曝露者がサージカルマスクを着用しない場合(感染した曝露者4例中4例が非着用、感染しなかった曝露者832例中264例が非着用、P = 0.010)、または曝露者と接触中の初発患者がサージカルマスクを着用しない場合(感染した曝露者4例中4例の接触した初発患者が非着用、感染しなかった曝露者832例中300例の接触した初発患者が非着用、P = 0.017[Fisherの正確確率検定])のいずれも、サージカルマスクの非着用はブタインフルエンザウイルス院内感染の有意なリスク因子であることが判明した。
サマリー 原文(英語)はこちら
監訳者コメント
H1N1の感染予防のための呼吸器防護器具の有効性については、N95タイプのマスクとサージカルマスクの実地疫学による調査情報が必要であり、今後類似の論文が数多く登場するであろう。

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