重症患者の敗血症の原因としての末梢動脈カテーテルの評価:記述的レビュー★

2010.05.30

Assessment of peripheral arterial catheters as a source of sepsis in the critically ill: a narrative review


J.R. Gowardman*, J. Lipman C.M. Rickard
*Royal Brisbane and Women’s Hospital, Australia
Journal of Hospital Infection (2010) 75, 12窶・8
血管内留置器材は重症患者の管理に必須であるが、血管内留置器材関連敗血症は依然として重大な合併症である。動脈カテーテルは、重症患者において最も操作性に優れた血管内留置器材の1つである。血管内留置器材を留置中の患者に血流感染症(BSI)が疑われる場合、臨床医は動脈カテーテルにはほとんど注意を払わずに中心静脈カテーテル(CVC)に注意を向けていた。血管内留置器材関連敗血症またはカテーテル関連敗血症が疑われる場合は、CVCの培養をルーチンに行い必要に応じて交換するが、動脈カテーテルについては同様に扱われていない。その理由の一部として、研究対象となる患者集団が関連している可能性がある。留置期間が短く重症度の低い患者では動脈カテーテル関連敗血症の発生率は非常に低い。一方、重症度の高い患者では、動脈カテーテルは、留置期間の短いCVCと同程度以上に感染の原因となる可能性がこれまでの研究で示唆されていたが、その知見は臨床現場に十分に生かされてこなかった。動脈カテーテルに起因するBSIは米国だけで年間最大48,000件発生していると推定されており、これは臨床上重大な問題であることが示唆される。最近のエビデンスからは、保菌(これはBSIに先行する)およびBSIのいずれについても、動脈カテーテルの感染性は留置期間の短いCVCと同程度であることが示されており、これまでの研究を追認するものである。カテーテル関連BSIが疑われる重症患者では、動脈カテーテルとCVCの両方を評価する必要があることが示唆されている。
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監訳者コメント
CVCに加え、動脈カテーテル挿入に伴う感染予防の必要性を指摘している論文である。長期留置例での疫学情報が今後の検討課題であろう。

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