汚染されたプロポフォールによる重症敗血症のアウトブレイク:学ぶべき教訓★★

2010.11.30

Outbreak of severe sepsis due to contaminated propofol: lessons to learn


A.E. Muller*, I. Huisman, P.J. Roos, A.P. Rietveld, J. Klein, J.B.M. Harbers, J.J. Dorresteijn, J.E. van Steenbergen, M.C. Vos
*Erasmus MC-University Medical Center Rotterdam, The Netherlands
Journal of Hospital Infection (2010) 76, 225-230
院内感染症は医療に関連して発生する頻度が高い懸案事項である。院内感染症やその予防策に関する情報は存在するものの、感染症アウトブレイクは継続的に発生している。この研究では、連続した2日間に手術室で小手術を受けた患者に発生した重症敗血症のアウトブレイクを記述するとともに、その分析を実施した。疫学データを用いた後向きコホート研究による感染源の調査に加えて、微生物学的検査、現場調査、および聞き取りを実施した。7例が術後に全身性炎症反応症候群(SIRS)の症例定義に合致した。同一期間に手術を受けた他のすべての患者を対照とした。検討したリスク因子のうち、統計学的に有意な関連があったのは全身麻酔およびプロポフォールの使用であった(P = 0.003)。開栓後のプロポフォール・バイアル、プロポフォールに関連した器材、および患者2例の血液培養から肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)およびセラチア・マルセセンス(Serratia marcescens)が検出された。培養菌株は遺伝子型が同一であった。プロポフォールの無菌的調製、取り扱い、および保存に過失が認められて、外因性汚染の原因となった可能性が強く疑われた。日常的なプロポフォールの取り扱い手順が製造会社による推奨に従っておらず、主要逸脱事項は単回使用バイアルが複数の患者に使用されていたことであった。この研究により、汚染プロポフォールの感染リスク、および取り扱い説明書に従うことの重要性が示された。
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監訳者コメント
この報告では、プロポフォールの単回使用バイアルが多分割投与されていたことがアウトブレイクの原因として同定されたが、いずれにせよ、多分割投与バイアルの取り扱いには十分な安全配慮が必要である。現在の標準予防策には安全な注射処置に関する注意事項も含まれており、無菌的な取り扱いも含めて重要なポイントである。

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