異なるマイクロファイバークロスによる医療関連感染症微生物の表面上からの除去に関する有効性の評価

2011.07.30

Assessing the efficacy of different microfibre cloths at removing surface micro-organisms associated with healthcare-associated infections


D.L. Smith*, S. Gillanders, J.T. Holah, C. Gush
*Campden BRI, UK
Journal of Hospital Infection (2011) 78, 182-186
この研究は、10 種類のマイクロファイバークロスについて、管理された実験室の条件の下に、病院環境で一般的にみられる 3 種類の表面(ステンレススチール、家具用ラミネートシート、セラミック・タイル)から微生物汚染を除去する能力を評価した。試験には医療関連感染症の起因菌となることが知られているメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(meticillin-resistant Staphylococcus aureus;MRSA)、クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)(芽胞)、および大腸菌(Escherichia coli)を使用した。クロスの初回かつ単回使用による汚染除去能力には、評価したクロスの間で相違がみられることを示す統計学的に有意なエビデンスが得られた(P < 0.001)。しかし、これらのうちで再利用が可能な 9 種類のクロスによる汚染除去による細菌数減少量の相違は log10 値で 1 未満で、全体的な汚染除去能力に実質的な差異はなかった。一方、使い捨て用マイクロファイバークロスによる汚染除去能力は顕著に不良であった。いずれのクロスによる汚染除去能力も、汚染表面上で連続的に複数回使用した場合は低下した。クロスの反復洗浄の影響については、再利用可能なクロスの汚染除去能力は 75 回の洗浄により改善したが、150 回の洗浄後は低下した。しかし、大半のクロスでは 150 回の洗浄後の汚染除去能力は初回洗浄後と比較しても良好であった。すべてのクロスにおいて、価格は汚染除去能力の指標とはならなかった。今回の実験室での知見から、結論として、評価したマイクロファイバークロスの使用は病院環境中の特定の表面上の MRSA、大腸菌、および C. difficile 芽胞のレベルを減少させるための有効な方法であり、病院環境において有益であると考えられる。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
マイクロファイバークロスは、少量の水に濡らすだけで、界面活性剤(洗剤)や消毒薬を添加することなく、毛細管現象と静電気の効果の組み合せによって汚れを取り除くことができるとされており、英国の病院では一般的に使用されているようである。しかし、感染防止対策では現場が重要であることから、研究に使用されたマイクロファイバークロスが本文中にすべて商品名で記載されているのは理解できるものの、いささか “market-based medicine (商品に基づく医学)” の印象を受けるところではある。

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