欧州における医療関連感染のデータの公表:感染予防のオピニオンリーダーらの見解は?

2013.02.28

Public reporting of healthcare-associated infection data in Europe. What are the views of infection prevention opinion leaders?


M. Martin*, W. Zingg, S. Hansen, P. Gastmeier, A.W. Wu, D. Pittet, M. Dettenkofer on behalf of the PROHIBIT study group
*University Medical Center Freiburg, Germany
Journal of Hospital Infection (2013) 83, 94-98
背景
欧州では、医療関連感染(HAI)のデータの公表に対する関心が、主に患者の安全性の観点から高まっている。しかし、患者やその他の関係者にとってこれらのデータが有用であるかどうかは不明である。
目的
欧州の感染制御のオピニオンリーダーらの見解を収集すること、および欧州における HAI データの公表に関する情報を提示すること。
方法
欧州 34 か国の欧州疾病予防管理センター(ECDC)の HAI surveillance National Contact Points や感染制御のオピニオンリーダーらに自国の HAI データの報告に関する質問票への記入、および公表に関する個人的見解の提示を依頼した。2010 年と 2012 年に開催された 2 回のコンセンサスミーティングで、この問題について討論を行った。
結果
2 回の調査の回答率は 100%と 93.9%であった。HAI データ公表の現行の実践には欧州内で大きなばらつきがあった。多くの専門家は、HAI データの公表という考え方を支持していた。公表制度が確立されている 7 か国の代表者は全員、公表の実践を支持していた。第 1 回のミーティング後、12 名の専門家が意見を変更した。大部分の専門家は最終的に、質に基づく競争が強化されることによって病院は有益な影響を受けるということに同意したが、感染率のデータは患者に誤解される可能性があり、標準化と妥当性検証が必要であることから、これらのデータの公表には躊躇を示した。
結論
欧州の感染制御のオピニオンリーダーらは、データの公表は病院機能に有益な影響を及ぼし、その結果として感染減少への取り組みが行われるであろうということに同意した。彼らは、(i)アウトカムデータではなくプロセス指標が報告されること、および(ii)サーベイランスは外部監査機関のモニタリングを受けることを条件として、個々の病院のデータを報告することを支持した。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
本論文によると、2010 年の時点で 33 か国のうち 7 か国で病院毎の医療関連感染データの公開が義務化されていたが、公表の形式や頻度は週報から半期毎と様々であった。Surveillance for action の視点に基づく有益なデータの公表について考える機会となる論文である。

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