医療従事者に手指衛生を想起させることを患者に奨励する戦略の有効性に関するシステマティックレビュー

2015.03.30

Systematic review of the effectiveness of strategies to encourage patients to remind healthcare professionals about their hand hygiene


R. Davis*, A. Parand, A. Pinto, S. Buetow
*Imperial College London, St Mary’s Hospital, UK
Journal of Hospital Infection (2015) 89, 141-162
背景
患者が医療従事者に対して手指洗浄の実施を想起させることによって、医療従事者の手指衛生遵守の改善を支援することが可能である。
目的
医療従事者に手指衛生を想起させることについての患者の関与の増大を目的とした戦略の有効性を調査すること。
方法
1980 年から 2013 年の Medline、EMBASE、および PsycINFO を対象として、システマティックレビューを実施した。
結果
候補となった論文 1,956 報中 28 報を対象とした。これらのうち、23 報は患者を中心に据えた戦略の有効性を評価しており、5 報は仮想的な戦略に対する患者の態度について調査したものであった。16 報は単一要素の戦略(例、ビデオ)を、12 報は複合的なアプローチ(例、ビデオと小冊子の組み合わせ)を評価していた。全体的に、医療従事者に手指衛生を想起させることに対する患者の意図および/または関与の増大を支援するうえで、それらの戦略は有望であることが示されていた。医療従事者からの奨励が、最も有効な戦略のようであった。しかし、本総説が目的としたことへ言及するには、これらの論文の方法論的な質は全般的に低かった。
結論
医療従事者に手指衛生に関する問いかけを行うように患者を奨励する戦略は、多くのものが実施されている。より強固な評価項目を用いた良質な比較対照研究によって、最も成功する可能性が高い戦略は何であるか、またその理由について、理解が深まるであろう。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
医療における患者の参加は、様々な領域でもはや必須となっている。しかしその具体的な手法については、様々な試みがなされてはいるものの、どの方法が優れているのかエビデンスが確立しているわけではない。手指衛生向上において患者の参加を検討している病院は、本システマティックレビューを参考にし、その具体的な方法を検討するとよいだろう。

同カテゴリの記事

2018.11.24

Trends in device utilization ratios in intensive care units over 10-year period in South Korea: device utilization ratio as a new aspect of surveillance

2011.11.30

Risk factors for bacteraemia attributable to Pseudomonas aeruginosa resistant to imipenem, levofloxacin, or gentamicin

2017.07.31

Association of hospital contact precaution policies with emergency department admission time

2012.04.29

A large exposure to Brucella melitensis in a diagnostic laboratory

JHIサマリー日本語版サイトについて
JHIサマリー日本語版監訳者プロフィール
日本環境感染学会関連用語英和対照表

サイト内検索

レーティング

アーカイブ