定義と、血液培養データがない場合の扱いが、経静脈栄養実施中の血管内留置カテーテル感染症の発生率に及ぼす影響

2016.06.23

Impact of definition and procedures used for absent blood culture data on the rate of intravascular catheter infection during parenteral nutrition


P.D. Austin*, K.S. Hand, M. Elia
*University of Southampton, UK
Journal of Hospital Infection (2016) 93, 197-205
背景
血管内留置カテーテル感染症の診断は、その定義と、血液培養のデータがない場合の扱いによって左右される可能性がある。
目的
カテーテル感染症の様々な定義の違いと、血液培養データがない場合の扱いが、カテーテル感染症の報告率に影響する程度を明らかにすること。
方法
経静脈栄養を指示された入院患者のコホートにおいて、3 種の臨床的定義および 4 種の発表された定義に従ってカテーテル関連感染症の発生率を確認した。症例解析や感度分析、intention-to-categorize 解析によって、対応のある比較または対応のない比較を行った。
結果
臨床的定義については、それぞれ完全なデータを利用することができた(N = 193)。一方、発表された定義については4.1 ~ 26.9%でデータが欠落していた。症例解析において、臨床的定義を用いた場合のカテーテル関連感染症発生率は13.0 ~ 36.8%、発表された定義を用いた場合の発生率は2.1 ~ 12.4%であった。発表された定義で感度分析を行った場合の発生率は1.6 ~ 32.1%、intention-to-categorize 解析を行った場合の発生率は11.4 ~ 16.9%であり、欠測データのある定義のほうがカテーテル感染率が高いというバイアスが示唆され、臨床的定義に基づいた解析と合っていた。対応のある比較では、定義間の一致は「不良」(Cohen のカッパ係数 < 0.21)から「きわめて良好」(Cohen のカッパ係数 ≧ 0.81)までと幅があった。
結論
カテーテル感染症の様々な定義と、血液培養データがない場合の扱いによって、計算されるカテーテル感染率は大きく異なる。これらの違いによって、サービスの質や研究のアウトカムについての測定や比較に支障が出ている可能性がある。そのため正しく、実用的で、かつ一致した定義を確立し、用いる必要がある。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
血管内カテーテル関連感染症の定義の違いにより、算出される感染率にも差が生じるが、そのインパクトについての検討はこれまで多くなく、定義間の一致についても不明であった。本検討は血液データのない場合の影響も含めて算出しており、改めて定義の確立の意義を明らかにしたものといえる。

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