擦式アルコール製剤の使用量の検討

2017.02.28

Dose considerations for alcohol-based hand rubs


M.A.C. Wilkinson*, K. Ormandy, C.R. Bradley, A.P. Fraise, J. Hines
*Queen Elizabeth Hospital Birmingham, UK
Journal of Hospital Infection (2017) 95, 175-182
背景
製造者が推奨する擦式アルコール製剤の使用量は、通常、EN 1500 などのモデルプロトコールを用いて製品の有効性を測定することで決められる。しかし、事例報告や非公式な観察により、多くの場合、実臨床での使用では使用者はそれよりはるかに少ない量に自己調節していることが示唆されている。
目的
擦式アルコール製剤の使用量と EN 1500 標準試験法を用いた in-vivo 有効性、使用者の手指の乾燥時間、受容性に対する使用者の認識との相互依存関係を検討すること。
方法
EN 1500 およびこの方法の修正法を用いて 3 種類の製剤を試験した。修正法では、0.5 ~ 3.0 mL の範囲の量を 30 秒間使用した。乾燥時間を記録し、3 点尺度(長すぎる、OK、短すぎる)を用いて使用者の受容性を明らかにした。乾燥時間を手の表面積との関連で解析した。
結果
3 種類の製品すべてで乾燥時間は使用量に応じて増加した。乾燥時間は、使用量とは正の関連を、手の表面積とは負の関連を示した。使用者の受容性に関して最適な量は 1.5 ~ 2 mL であり、乾燥時間は 20 ~ 30 秒であった。
結論
EN 1500 は、擦式手指消毒薬の有効性をベンチマークと比較して確認するには適切であるが、実際の使用中の条件や製品の予想される臨床効果を反映していない。特に、使用量および製品の使用者受容性を最適にする必要性には取り組んでいない。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
手指衛生剤の適切な量はメーカーが規定するとされているが、実際にプッシュ型のものでは使用者は押す力を加減したり、回数を調節するなどして少なめ、あるいは多めに手に取ることが多い。本稿は適切な手指衛生剤を決定する試験基準である EN1500 とその結果の医療現場の受容性について検討した研究である。手指衛生剤の量について気になっている人は読んでみてはいかがだろうか。

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