2012 年から 2014 年までのイタリアでの院内感染胃腸炎における A 群ロタウイルス遺伝子型

2017.07.31

Group A rotavirus genotypes in hospital-acquired gastroenteritis in Italy, 2012-14


G. Ianiro*, R. Delogu, L. Fiore, M. Monini, F.M. Ruggeri, the RotaNete-Italy Study Group
*Istituto Superiore di Sanità, Italy
Journal of Hospital Infection (2017) 96, 262-267
背景
A 群ロタウイルスは、若年(5 歳未満)小児での急性胃腸炎の主要な原因で、大多数は発展途上国で発生するが、世界中で約 25 万件の死亡の原因となる。VP7(G タイプ)およびVP4(P タイプ)遺伝子のヌクレオチド配列の差がA 群ロタウイルスの 2 つの名称がある基礎となっている。少なくとも G タイプ 32 種、P タイプ 47種 が現在知られているが、世界中のヒトでのA 群ロタウイルス感染の大多数は、5 つの主要な G/P の組合せ(G1P[8]、G2P[4]、G3P[8]、G4P[8], および G9P[8])に関連している。
目的
イタリアのサーベイランスネットワークの病院に A 群ロタウイルス急性胃腸炎に関する最新情報を提供すること。
方法
2012 年から 2014 年までのイタリアにおける A 群ロタウイルス胃腸炎サーベイランス期間中、急性胃腸炎で入院した小児から採取した糞便 2,341 検体が A 群ロタウイルス陽性で、EuroRotaNet プロトコールにしたがって A 群ロタウイルス株の遺伝子型判定を行った。
結果
大多数の株は 5 つの主要なヒト遺伝子型に属し、2,341 例のうち 118 例(5.0%)は院内感染であると報告された。市中に蔓延している、または院内感染に関連する A 群ロタウイルス遺伝子型分布の比較により、病院内で蔓延している遺伝子型の分布は市中でみられる遺伝子型のものとは異なることが示された。G1P[8]および G9P[8]A 群ロタウイルス株が高頻度に検出され、一方、G12P[8]は単一の院内アウトブレイクの原因となっていた。
結論
本研究から得られた情報は、A 群ロタウイルス急性胃腸炎予防ガイドラインの実施、また病棟における患者の管理を最適なものにするのに有用であろう。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
院内感染における感染性胃腸炎といえば、まずはノロウイルスが重要であるが、本研究はロタウイルスも院内感染で発生しており、さらにその遺伝子型は市中で流行しているものと異なることが示された。
ただし現時点ではロタウイルスに特有の感染対策が存在するとは考えられず、わが国では胃腸炎患者にはノロウイルスを想定した接触予防策がきちんと行われていれば特に問題はないと思われる。

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