4 つの主要外科手技後の感染症に対する病院の影響:全州の包括的データを用いた外れ値および手術における件数と成績の関係の分析

2017.10.26

Hospital effect on infections after four major surgical procedures: outlier and volume-outcome analysis using all-inclusive state data


L. Furuya-Kanamori*, S.A.R. Doi, P.N. Smith, N. Bagheri, A.C.A. Clements, A. Sedrakyan
*Qatar University, Qatar
Journal of Hospital Infection (2017) 97, 115-121
背景
病院の手術件数は、主要な外科手技の転帰に直接の影響を及ぼすことが知られている。しかし、このエビデンスが手術部位感染症(SSI)に特に該当するかどうかは不明である。
目的
オーストラリアのニューサウスウェールズ州において、4 つの主要外科手技について手技毎の病院の外れ値(高い SSI 発生率を伴う)を明らかにすること、また外れ値の成績を有する病院を考慮しながら、病院の手術件数が SSI 発生率と関連するかどうかを検討すること。
方法
2002 年から 2013 年の間にニューサウスウェールズ州の施設で 4 つの外科手技(結腸直腸手術、関節置換術、脊髄手術および心臓手術)のいずれか 1 つを受けた成人を組み入れた。4 つの外科手技のそれぞれにおける病院の手術件数を三分位(低、中間および高)にカテゴリー分類した。多変量ロジスティック回帰モデルを構築して、各手技について予想される SSI 発生率を推定した。予想される SSI 発生率を用いて、SSI の間接標準化発生率を算出し、これをファンネルプロットで表して病院の外れ値を特定した。
結果
1 病院が全体における外れ値と同定された(同院で実施された 4 つの手術のうち 3 つについて SSI 率が高かった)一方で、全研究期間を通じて 2 病院が特定の 1 つの手技について外れ値であった。手術件数の少ない施設は、結腸直腸手術については成績が最高で、関節置換術および心臓手術について成績が最低であった。手術件数の多い 1 施設は、脊髄手術が外れ値であった。
結論
ニューサウスウェールズ州において、SSI は主として手技特異的な現象であり、病院特異的な現象ではないようである。病院の手術件数と SSI 発生率との関連は、手術手技によって異なっている。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
4 つの手術手技別に見て症例数と SSI 発生率の間に関連性はないが、なぜそうなっているのかについての分析は不十分な論文である。

同カテゴリの記事

2017.09.28

Risk factors for urinary tract infections in geriatric hospitals

2015.10.30

Blood culture contamination rates

2016.03.01

Baby bottle steam sterilizers for disinfecting home nebulizers inoculated with non-tuberculous mycobacteria

2015.12.31

Systematic review and meta-analysis of the risk of microbial contamination of parenteral doses prepared under aseptic techniques in clinical and pharmaceutical environments: an update

2018.07.31

Pre-post evaluation of effects of a titanium dioxide coating on environmental contamination of an intensive care unit: the TITANIC study

JHIサマリー日本語版サイトについて
JHIサマリー日本語版監訳者プロフィール
日本環境感染学会関連用語英和対照表

サイト内検索

レーティング

アーカイブ