床、表面および患者への病原体定着低減のための靴底用短波長紫外線(UVC)器材の評価

2018.01.31

Evaluation of a shoe sole UVC device to reduce pathogen colonization on floors, surfaces and patients


T. Rashid*, K. Poblete, J. Amadio, I. Hasan, K. Begum, M.J. Alam, K.W. Garey
*University of Houston College of Pharmacy, Houston, USA
Journal of Hospital Infection (2018) 98, 96-101
背景
靴底に短波長紫外線(UVC)を照射し殺菌する UVC 汚染除去器材が最近使用可能になった。
目的
靴底が医療関連感染の媒介となる可能性を明らかにすること、また靴底用 UVC 汚染除去器材がこのリスクを効果的に減少させうるか検討すること。
方法
3 つの菌株(黄色ブドウ球菌[Staphylococcus aureus]、エンテロコッカス・フェカーリス[Enterococcus faecalis]、大腸菌[Escherichia coli])および毒素非産生株のクロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)を、標準化されたゴム製の靴底に添加し、UVC 曝露例と非曝露例に無作為に割り付けた。次いで UVC 器材を使用し、靴底および床のコンタミネーションの除去に関する有効性を検討した。さらに模擬の医療・患者環境における細菌定着を評価する目的で、靴にE. faecalisを添加して実験を行った。
結果
UVC 器材は検査したすべての菌種に関し、靴底のコンタミネーションを有意に減少させ、また、すべての種類の床と検査したすべての菌種に関し、床のコンタミネーションを有意に減少させた(P < 0.01、全実験)。Log10 値の減少値は大腸菌で最も大きく(平均値 ± 標準偏差 2.6 ± 0.79)、次にE. faecalis(2.19 ± 0.68)、黄色ブドウ球菌(1.74 ± 0.88)、C. difficile(0.42 ± 0.54)と続いた(P < 0.0001、全解析)。靴底を UVC 器材へ曝露すると有意にコンタミネーションが減少した(log10 値の平均減少値 2.79 ± 1.25、P < 0.0001)。家具、ベッドおよびダミー患者から採取したサンプルでの陽性割合は、対照群の 96 ~ 100%から、UVC 器材実験群での 5 ~ 8%へと減少した(P < 0.0001、全解析)。
結論
UVC 汚染除去器材は、靴底に付着した病原微生物の菌数(コロニー形成単位数)を減少させることができた。それに続いて、床、医療器具、家具、ベッドおよび患者ダミーにおいても細菌の定着を減少させうることが判明した。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
靴による微生物伝播を遮断する目的で開発された、紫外線照射装置(HealthySole)の有用性に関する報告である。菌数の減少効果は、菌種と、床の材質によってやや異なった結果であった。患者環境を模した検討では、靴底に Enterococcus をつけ、紫外線照射群と対照群に割り付けた後に病室に入室、ダミー患者と周辺の器具・家具での Enterococcus の汚染を調査し、2 群で比較している。この模擬検討は、病室内での試験者の行動によって結果が大きく左右されると思われ、追試が望ましいと考える。

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