手指消毒におけるエタノールのウイルスに対する有効性★

2018.04.29

Efficacy of ethanol against viruses in hand disinfection


G. Kampf*
*University Medicine Greifswald, Germany
Journal of Hospital Infection (2018) 98, 331-338
エタノールは医療機関における擦式手指消毒製剤として世界的に用いられている。エタノールはプロパノールよりも強力かつ広範な殺ウイルス活性を有することが報告されている。本レビューの目的は、エタノールの溶液または市販製剤の殺ウイルス活性スペクトルを記述することである。系統的な検索を実施した。選択した研究は、懸濁試験(49 件)および汚染された手指(17 件)におけるウイルスの感染性低減に関するオリジナルデータを含んだ研究であった。80%エタノールは、対象とされた 21 種類のエンベロープウイルスすべてに対して、30 秒以内で極めて効果が高かった。マウスノロウイルスおよびアデノウイルス 5 型は通常、70% ~ 90%エタノールにより 30 秒で不活化されるのに対し、ポリオウイルス 1 型は多くの場合、95%エタノールを除いて非常に強い耐性を示した(いずれもEN 14476 試験の対象となるウイルス)。80%エタノールは、ポリオウイルス、ネコカリシウイルス(FCV)、ポリオーマウイルス、A 型肝炎ウイルス(HAV)および口蹄疫ウイルスに対して十分に効果的でないようである。しかし、95%エタノールの殺ウイルス活性スペクトルは、臨床的に重要なウイルスの大部分をカバーしている。低濃度のエタノールへの酸の追加は、例えばポリオウイルス、FCV、ポリオーマウイルスおよび口蹄疫ウイルスに対する殺ウイルス活性を大幅に改善するが、HAV などの一部のウイルスはやはり耐性が非常に強い。殺ウイルス作用のある適切な擦式手指消毒製剤を選択する際は、病棟で最も多くみられるウイルスに基づいて、また頻回使用の状況下におけるその製剤の使用者にとって受け入れやすさに基づいて行うべきである。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
芽胞菌と脂質成分の少ない膜に覆われたウイルスに対して、アルコール系消毒薬の効果は限定的であることがよく知られている。対象となる病原体を絞ることができるときには、適切な手指衛生方法を選択する必要がある。

同カテゴリの記事

2020.07.31

Pulmonary microbiome patterns correlate with the course of disease in patients with sepsis-induced ARDS following major abdominal surgery
F.C.F. Schmitt*, A. Lipinski, S. Hofer, F. Uhle, C. Nusshag, T. Hackert, A.H. Dalpke, M.A. Weigand, T. Brenner, S. Boutin
*Heidelberg University Hospital, Germany
Journal of Hospital Infection (2020)105, 438-446

2007.05.30

An outbreak of infections caused by non-typeable Haemophilus influenzae in an extended care facility

2006.01.09

Surveillance of nosocomial infections in paediatric recipients of bone marrow or peripheral blood stem cell transplantation during neutropenia, compared with adult recipients

2006.03.31

Surveillance for mupirocin resistance following introduction of routine peri-operative prophylaxis with nasal mupirocin

2008.08.31

Bacillus cereus nosocomial infection from reused towels in Japan

JHIサマリー日本語版サイトについて
JHIサマリー日本語版監訳者プロフィール
日本環境感染学会関連用語英和対照表

サイト内検索

レーティング

アーカイブ