アンゴラおよびサントメ・プリンシペの入院患児およびその親におけるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の高い鼻腔内保菌率

2018.11.24

Frequent MRSA nasal colonization among hospitalized children and their parents in Angola and São Tomé and Príncipe


S. Rodrigues*, T. Conceição, I. Santos Silva, H. de Lencastre, M. Aires-de-Sousa
*Universidade Nova de Lisboa, Portugal
Journal of Hospital Infection (2018) 100, 344-349
背景
院内獲得メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(methicillin resistant Staphylococcus aureus;MRSA)の鼻腔内保菌率は、以前にはアンゴラのルアンダの小児科病院 1 施設で 23%、サントメ・プリンシペの総合病院 1 施設では 18%と推定された。
目的
アンゴラおよびサントメ・プリンシペの病院 2 施設の入院患児およびその親における黄色ブドウ球菌/MRSA の保菌率を評価すること。
方法
2017 年に、2 か国の入院患児 127 例およびその親 129 例を対象に、黄色ブドウ球菌/MRSA 保菌の検査のために鼻腔スワブを採取した。分離株について、mecA および Panton-Valentine leukocidin(PVL)遺伝子の有無を検査し、パルスフィールド・ゲル電気泳動(PFGE)、spa タイピング、複数部位塩基配列タイピング(MLST)、およびSCCmec タイピングによりその特徴を明らかにした。
結果
患児 127 例中 20 例(15.7%)およびその親 129 例中 13 例(10.1%)に、 MRSA 鼻腔内保菌が認められた。以下の 3 系統が MRSA 分離株の 88%を占めた:(i)PFGE A-ST5-SCCmec IVa(15 例、45%)、spa 型 t105 と関連し、アンゴラのみで回収、(ii)PFGE N-ST8-IV/V(7 例、21%)、spa 型 t008/t121 と関連し、サントメ・プリンシペのみで回収、(iii)PFGE B-ST88-IVa(7 例、21%)、spa 型 t325/t786 と関連し、両国で回収。患児/保護者(親)15 組には、同一の MRSA 株(8 例)またはメチシリン感受性黄色ブドウ球菌株(7 例)の保菌が認められた。PVL は分離株の 25%で検出され、これには MRSA 2 株(ST30-V および ST8-IVa)が含まれた。.
結論
入院患児とその親は MRSA の重要なリザーバである。感染制御策では、市中への MRSA の拡散を最小限に抑えるために、入院患児の親に焦点を当てるべきである。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
MRSA 保菌患児の親も一定の確率で同じタイプの MRSA を保菌していることが示された。小児入院患者の管理においては親の協力は必須であるが、感染管理の観点からも手指衛生などを始め、親に協力してもらうことが重要と考えられる。

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