革新的なサーベイランスと臨床決定支援システムによってサポートする抗菌薬適正使用支援プログラムの参加型実践

2018.11.24

Participatory implementation of an antibiotic stewardship programme supported by an innovative surveillance and clinical decision-support system


A.S. Simões* , M.R. Maia, J. Gregório, I. Couto, A.M. Asfeldt, G.S. Simonsen, P. Póvoa, M. Viveiros, L.V. Lapão
* Universidade Nova de Lisboa, Portugal
Journal of Hospital Infection (2018) 100, 257-264
背景
抗菌薬耐性により 2050 年までに 1 年あたり約 1,000 万人が死亡するとされる。抗菌薬耐性との闘いは衛生上の優先事項である。抗菌薬適正使用支援プログラムなど抗菌薬耐性を低減させるための介入を実施する必要がある。効果的に行うには、そうした介入や実践プロセスが、社会的・文化的背景と適合していなければならない。抗菌薬適正使用支援プログラムは複雑なため、組織体制と情報システムの両方を考慮しなければ、もはや改良できない。
目的
抗菌薬耐性の監視と抗菌薬処方の改善を図るために、医療従事者と連携したサーベイランスと臨床決定支援システムの共同デザインと実践により、抗菌薬適正使用支援プログラムをサポートすること。
方法
ポルトガルの 3 つの病院において、Design Science Research Methodology に従い、研究者と医療従事者間の参加型アプローチによってサーベイランスと臨床決定支援システムをデザインし、実践した。
結果
医療従事者の要望に基づき、患者・微生物学・薬剤に関するデータの可視化を統合して臨床決定を支援する HAITooL(リアルタイムのサーベイランス・臨床決定支援システム)を開発した。HAITooL は抗菌薬使用や抗菌薬耐性菌の発生率を監視し、アウトブレイクの早期発見を可能にする。また、エビデンスに基づくアルゴリズムを統合し、適切な抗菌薬処方をサポートする臨床決定支援ツールである。HAITooL は抗菌薬耐性感染症の監視をサポートする上で有用とみなされ、抗菌薬適正使用支援プログラムの持続可能性のために重要なツールである。
結論
抗菌薬適正使用支援プログラムの実践は、医療従事者や病院の背景や特定のニーズに適応していれば、抗菌薬耐性を監視し抗菌薬処方をサポートする HAITooL などのサーベイランスや臨床決定支援システムによって、より効果的になりうる。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
Design Science Research Methodology は、結果ベースの情報技術リサーチ手法であり、リサーチプロジェクトにおける評価と反復のための具体的なガイドラインを提供する。この論文では、患者の臨床経過と治療の過程を時間経過で視覚的に確認できるシステムの導入や感受性パターンのみやすい情報提供などを行い、抗菌薬適正使用支援プログラムの実践を推進している。

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