パーティクルカウントおよび培養プレートを用いた手術用滅菌ヘルメットシステムの微生物学的評価:手洗い中の安全な使用の推奨

2019.03.12

A microbiological assessment of sterile surgical helmet systems using particle counts and culture plates:recommendations for safe use whilst scrubbing


T.S. Moores* , S.A. Khan, B.D. Chatterton, G. Harvey, S.C. Lewthwaite
* Robert Jones and Agnes Hunt Orthopaedic Hospital NHS Foundation Trust, UK
Journal of Hospital Infection (2019) 101, 354-360
背景
関節形成術の症例の 2 ~ 4%で感染症が発生しており、潜在的な感染源を特定することができれば感染率を低下させられる可能性がある。本研究の目的は、手術用滅菌ヘルメットシステムを使用しながら手洗いをする際の、手指およびガウンの汚染の可能性および影響を明らかにすることであった。
方法
コロニー形成単位(cfu)は 0.5 ~ 5 µm の病原性の粒子を表す。標準的な関節形成術のフードおよび手術用滅菌ヘルメットシステムについて、送風機のスイッチがオンおよびオフの状態で、被験者 3 名およびマネキン 1 体に3 分間の曝露(手洗い時間に相当)を行い、パーティクルカウント(粒子数)の測定と培養プレートの検査を行った。
結果
すべての手術用滅菌ヘルメットシステムからグラム陽性球菌が検出され、平均コロニー数は 410 cfu/m2 であった。バックグラウンド計数は、層流領域(平均粒子数0.7 /m3、95%信頼区間[CI]0 ~ 1.4)では手洗い領域(平均粒子数131.5 /m3、95%CI 123.5 ~ 137.9、P = 0.0003)より低かった。しかし、2 分間の曝露ではどちらの領域でも細菌が増殖することはなかった。送風機のスイッチがオンの状態ではバックグラウンド係数は 3.7 倍増加し(全体の P = 0.004、cfu P = 0.047)、すべてのヘルメットは培養陽性であった(平均 36 cfu/m2)。送風機のスイッチがオフの状態では、標準的な関節形成術のフード、手術用滅菌ヘルメットシステムどちらも培養陽性にならなかった。層流領域では、培養はすべて陰性であり、粒子数も少なかった。
結論
手術用滅菌ヘルメットシステムの送風機をオンにした状態で手洗いをする場合、滅菌手袋およびガウンは汚染される可能性がある。手洗いをする際はフードとガウンを装着するまで送風機のスイッチをオフにしたままにすることが推奨され、理想的には層流環境での手洗いが好ましい。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
本検討では、①ヘルメットシステム:送風機付きのヘルメットと、それを覆うフードを着用し、ヘルメットを送風機用のバッテリーにつないでから手洗いする(風は頭部から下へ流れる)、対照として②関節形成術用フードをつけて手洗いする、の 2 法が比較された。試験を行う場所は、手術室近傍の層流領域と、層流のない手洗い場である。層流のない場所で送風機をオンにして手洗いを行えば、バックグラウンドとして存在していたパーティクル(この中には髪や頭皮由来のものも含まれる)がまいあがり、手洗いの効果が落ちるとともに、手洗いの環境も汚染されてしまう(培養も陽性となる)。そしてこの近傍で無菌セットを開封してしまうと、それらも汚染される。本検討は、我々自身が持っている細菌叢が、送風・気流によって清潔環境を汚染させてしまうリスクを再認識させるものといえる。

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