抗菌ワイプの有効性に対する試験手順および組み合わせる素材の影響

2019.09.29

Impact of test protocols and material binding on the efficacy of antimicrobial wipes


R. Wesgate*, A. Robertson, M. Barrell, P. Teska, J-Y. Maillard
*Cardiff University, Cardiff, UK
Journal of Hospital Infection (2019) 103, e25-e32
背景
有効な清浄/消毒製品の使用は、医療表面における病原体を制御するために重要である。市販のワイプ製品の数が増えるにつれて、製剤と不適切な素材の組み合わせにより製品の有効性が低下するという懸念がある。本研究の目的は、幅広い有効性試験手順を使用し、4 製剤に関してよく使用されるワイプの素材3 種類と組み合わせた前後で、有効性を明らかにすることであった。
方法
四級アンモニウム製品 2 製品、過酸化水素製品 1 製品および中性洗剤 1 製品を、マイクロファイバー、綿または不織布の素材と組み合わせ、2 つの表面試験(ASTM E2197-17、EN13697-15)および 2 つの「製品」試験(ASTM E2967-15、EN16615-15)によって、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)および黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)に対する有効性を検討した。
結果
全体的に見て、異なる素材を使用することによる製剤の有効性への影響は、0.5%v/v で使用されたアルキル(C12-16)ジメチルベンジルアンモニウム塩化物製品を除いて限定的であった。過酸化水素製品は、使用された素材にかかわらず最も有効であった。ワイプ試験 ASTM E2967-15 の結果は表面試験の結果と一致していたが、はるかに厳密性が低い EN16615-15 の結果とは一致しなかった。
結論
素材により吸収される製剤の量が異なるにもかかわらず、ワイプ布の素材の種類が異なっても、強力な消毒剤の有効性に対しては大きな影響を及ぼさない可能性がある。四級アンモニウム製剤は低濃度で使用された場合、よりリスクが高い可能性がある。実施された標準試験に応じて有効性に大きな違いがみられ、ラベル上の製品特長を作成するために試験を選択する際には、より高い厳密性が必要であることを裏付けている。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
医療関連感染症における環境の重要性への注目が高まる中、様々なワイプ製剤が発売されている。しかしその有効性は画一的なものでなく、使用されている消毒薬の種類と濃度はもちろん、ワイプの素材や有効性の評価系など様々な要素によって変化することを示唆する論文である。

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