基質特異性拡張型β- ラクタマーゼ SHV2a 産生緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)の局地的アウトブレイクにより、世界的な高リスククローン ST235 の新たな特有の亜系統の出現が明らかになる

2020.01.31

Local outbreak of extended-spectrum β-lactamase SHV2a-producing Pseudomonas aeruginosa reveals the emergence of a new specific sub-lineage of the international ST235 high-risk clone


G. Royer*, F. Fourreau, B. Boulanger, M. Mercier-Darty, D. Ducellier, F. Cizeau, A. Potron, I. Podglajen, N. Mongardon, J.-W. Decousser
*University Hospital Henri Mondor, France
Journal of Hospital Infection (2020) 104, 33-39
背景
緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)は病院感染の原因となる主な細菌性病原体の 1 つである。緑膿菌の疫学は非クローン性と考えられているにもかかわらず、特定の世界的な高リスクの多剤耐性クローンが認められてきた。
目的
SHV2a 産生緑膿菌株に起因する院内アウトブレイク 1 件に関する第一報として、この希少な基質特異性拡張型β- ラクタマーゼ(ESBL)を保有する新たな ST235 の特有の系統の出現について叙述すること。
方法
2018 年 5 月から 10 月の間に、フランスの教育病院 1 施設の心血管集中治療室に入院していた患者 4 例が多剤耐性緑膿菌分離株に感染した。血清型および抗菌薬感受性を試験した。また、全ゲノムシークエンス法を用いて、multi-locus sequence type(MLST)、コアゲノム MLST、レジストームを決定した。入手可能な ST235 ゲノムを用いて、一塩基多型に基づいた系統発生解析を実施した。
結果
4 株は、コリスチン、シプロフロキサシン、セフタジジム・アビバクタム、セフトロザン・タゾバクタムに対して感受性を示した。blaSHV2a は、同一のコアゲノム MLST プロファイル(4,162 の異なるアレルのうち 0 ~ 2)を示したこの血清型クラスター ST235-O11 の各ゲノムにおいて同定された。162 の ST235 ゲノムの系統発生解析により、4 つの他の菌株のみが blaSHV2a を保有し、フランスとアメリカ由来であり、アウトブレイク株と異なるにもかかわらず、ともにクラスター形成をしていることが示された。
結論
ST235 緑膿菌株において、共通の遺伝的背景を有し blaSHV2a ESBL を保有する亜系統は、別の場所から出現し、二次性の局地的アウトブレイクを引き起こすように思われる。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
なし

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