酸化銅による処理を施した軟表面および硬表面が医療関連感染の発生率に及ぼす効果:2 期にわたる研究

2020.06.30

The effect of copper-oxide-treated soft and hard surfaces on the incidence of healthcare-associated infections: a two-phase study
P.E. Marik*, S. Shankaran, L. King
*Eastern Virginia Medical School, USA
Journal of Hospital Infection (2020) 105, 265-271


背景
病院環境内の酸化銅含浸リネンおよび硬表面は、環境汚染を減少させ、それによって医療関連感染(HCAI)のリスクを低下させる可能性のある新技術の 1 つとして浮上してきた。
方法
本研究は2 期にわたる研究であった。第 1 期は前向きクラスター無作為化クロスオーバー臨床試験であり、本試験では当院の総合集中治療室(総合 ICU)の 1 群(8 床)は酸化銅含浸リネンを使用したのに対し、もう一方の群(8 床)は標準的な病院リネンを使用した。第 2 期は、酸化銅含浸リネンに加えてすべての硬表面に酸化銅による処理を施した、新たな ICU タワーへの ICU 3 室の移転を追った 2 年間の前後比較試験であった。HCAI は国家的医療安全ネットワークの定義を用いて記録した。
結果
第 1期には 1,282 例の患者が登録された。標準的なリネンを使用した患者と酸化銅含浸リネンの患者の間に HCAI の発生率の差は認められなかった。第 2 期ではクロストリジオイデス・ディフィシル(Clostridioides difficile)による感染症の数に有意な減少が認められたが(1,000 患者日あたり 2.4 対 1,000 患者日あたり 0.7、発生率比 3.3、95%信頼区間[CI]1.4 ~ 8.7、P = 0.002)、中心ライン関連血流感染またはカテーテル関連尿路感染の発生率に差は認められなかった。
結論
酸化銅含浸リネン単独では、HCAI の発生率に対する効果は認められなかった。我々のデータは、酸化銅による処理を施した硬表面が C. difficile による感染率を低下させたことを示唆しているが、重要な交絡因子は除外できない。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
銅は以前より抗菌作用のある素材として研究されてきた。従来実験室レベルの研究は多くあったが、本研究は実臨床で銅を織り込んだリネンと銅を利用した環境表面の医療関連感染症に与える影響を評価した研究である。様々な交絡因子の関与が考えられる結果となったが、今後さらにこうした臨床現場での検証が進むであろう。

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