重症 COVID-19 患者における多剤耐性グラム陰性菌分離と関連する臨床特性およびリスク因子

2021.04.30

Clinical characteristics and risk factors for the isolation of multi-drug-resistant Gram-negative bacteria from critically ill patients with COVID-19

 

A. Baiou*, A.A. Elbuzidi, D. Bakdach, A. Zaqout, K.M. Alarbi, A.A. Bintaher, M.M.B. Ali, A.M. Elarabi, G.A.M. Ali, J. Daghfal, M.A. Almaslamani, A.S.S. Ibrahim, A. Alkhal, A.S. Omrani

*Hamad Medical Corporation, Qatar

 

Journal of Hospital Infection (2021) 110, 165-171

 

 

背景

重症 COVID-19 患者を対象に、多剤耐性(MDR)グラム陰性菌(GNB)の分離と関連する臨床特性およびリスク因子を検討した。

 

方法

任意の臨床試料で 1 つ以上の MDR-GNB が分離された重症 COVID-19 患者(症例)を、MDR-GNB が分離されなかった患者(対照)と後向きにマッチさせた(1:2)。

 

結果

症例 78 例を特定した(集中治療室入室日 1,000 日あたり4.5、95%信頼区間[CI]3.6 ~ 5.7)。MDR-GNB 分離株 98 株のうち、最も頻度が高かった細菌種は、ステノトロホモナス・マルトフィリア(Stenotrophomonas maltophilia)(24 株、24.5%)および肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)(23 株、23.5%)であった。K. pneumoniae 分離株 2 株(8.7%)および緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)分離株 6 株(85.7%)は、カルバペネム耐性であった。分離株計 24 株(24.5%)は、活動性の感染症と関連するとは判断されなかった。活動性の感染症を有する患者には、中央値で 1 日以内に適切な抗菌薬が投与されていた。症例群では、中央値の中心静脈ライン留置日数、人工呼吸器装着日数、および入院日数が有意に長かった(それぞれ P< 0.001)。28 日時点の全死因死亡には、2 群間で有意差がなかった(P = 0.19)。人工呼吸器装着日数(補正オッズ比1.062、95%CI 1.012 ~ 1.114、P = 0.015)は MDR-GNB の分離と独立して関連していたが、コルチコステロイドまたはトシリズマブの投与はそうではなかった。MDR-GNB の分離と 28 日全死因死亡とのあいだに関連はなかった(補正オッズ比2.426、95%CI 0.833 ~ 7.069、P = 0.104)。

 

結論

重症 COVID-19 患者において、MDR-GNB の保菌および感染の予防には、侵襲的医療機器の使用を最小限にすること、また機器が必要でなくなったらすぐに除去することが必要である。

 

サマリー原文(英語)はこちら

 

監訳者コメント

COVID-19 に限らず、重症集中治療中の患者においては、ECMO、人工透析、高カロリー輸液等のための血管内留置カテーテル挿入や尿路カテーテル挿入、挿管による人工呼吸器装着など、侵襲的医療機器が使用される機会が増える。これらの手技は、微生物の侵入門戸を増やすとともに、通常のバリアが破綻するため微生物の侵入を容易にする。さらにこれらの機器類の使用期間が長くなるにつれて、合併症としての感染症が発生し、抗菌薬投与が必要となる。その結果、菌交代が発生し、耐性菌定着のための選択圧を増加させる結果となる。本論文においても、他の疾患と同様の結論となっている。

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