院内発症新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のサーベイランスシステム:システマティックレビュー

2021.09.30

Hospital-onset COVID-19 infection surveillance systems: a systematic review

M. Abbas*, N.J. Zhu, S. Mookerjee, F. Bolt, J.A. Otter, A.H. Holmes, J.R. Price
*Imperial College London, UK

Journal of Hospital Infection (2021) 115, 44-50


院内発症新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、患者および医療従事者の超過感染率・死亡率と関連する。本レビューの目的は、院内発症 COVID-19 サーベイランスの最新文献を検索し、記述することである。Medline、EMBASE、Cochrane Database of Systematic Reviews、Cochrane Register of Controlled Trials、MedRxiv を用いて、広範な検索条件により 2020 年 11 月30 日までの文献を検索した。院内発症 COVID-19 サーベイランスシステムに関する論文を対象とした。院内発症 COVID-19 の定義、発生率、診断サーベイランスシステムの種類、ならびにシステム実施の範囲を示すデータを抽出した。計 292 報の引用文献を特定し、院内発症 COVID-19 サーベイランスに関する研究 9 報を対象とした。6 報で COVID-19 入院患者のうち院内発症 COVID-19 の割合が報告され、0%から 15.2%の幅があった。6 報で院内発症 COVID-19 の症例定義が示されており、英国および米国の各関係機関により提供された国内の標準化定義を確認した。4 報ではサーベイランスに医療従事者が含まれた。1 報では、感染予防制御策に院内発症 COVID-19 サーベイランスを含む多面的対策が明確に示された。確認した院内発症COVID-19 サーベイランスシステムのすべてが施設内で実施され、8 報はすべての入院患者を対象とし、1 報は救急部の患者に重点を置いていた。確認したサーベイランスの種類は複数あり、4 報では自動サーベイランスが報告され、そのうち 1 報ではリアルタイム解析、1 報ではゲノムデータ解析が含まれた。全体として、追跡期間が短く、観察的性質のため、研究の質には限界がある。結論として、院内発症 COVID-19 の症例定義とサーベイランス法は実践的に開発された。異なる状況における既存のルーチンサーベイランス活動との統合および導入のために、標準化した症例定義とサーベイランスシステムは最適であるが、われわれは、短期間でそのような標準を構築することの難しさを認識した。

 

サマリー原文(英語)はこちら

 

監訳者コメント

『院内発症 COVID-19 サーベイランスシステム』というのが聞き捨てならない。

それを必要とするほど院内発生が起こっているとすると重大である。COVID-19の患者数が桁違いな国では、どうしてもこうしたシステムも必要なのであろが台湾からも論文がでているのは、IT担当大臣のいる国らしい。

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