FUrTIHF:フランスの医療施設における尿路感染症 — 5 年間の歴史的コホート(2014 年から 2018 年)

2021.10.31

FUrTIHF: French urinary tract infections in healthcare facilities — five-year historic cohort (2014 — 2018)

S. de Lafforest*, A. Magnier, M. Valleé, E. Bey, C. Le Goux, F. Saint, A. Therby, J.R. Zahar, A. Sotto, F. Bruyere, L. Grammatico-Guillon
*EpiDcliC, unité de santé publique, France

Journal of Hospital Infection (2021) 116, 29-36


背景

尿路感染症(UTI)は高頻度にみられ、多様である。重症でない場合でも、UTI は通常、入院につながるが、病院におけるUTI の疾患負担は明らかでない。本研究は、フランスの入院患者における UTI の全国発生率を推定することを目的とした。

 

方法

フランスにおいて UTI を有する成人入院患者の 5 年間にわたる歴史的コホートを、集学的チームが構築した ICD-10 コードアルゴリズムを用いて、複数の医療・行政データベースから抽出した。成績を評価する変数は、症例 1,122 例の精査により、医療報告をゴールドスタンダードとして用いて盲検下で推定し、全体的な陽性予測値は 70.4%(95%信頼区間 66.6 ~ 74.1)となった。次いで、UTI の全国発生率を推定した。

 

結果

研究期間中に、合計で UTI を有する入院患者は 2,083,973 例であった。補正発生率は入院患者 100,000 人当たり約 900 例で、研究期間中に一定で、女性のほうが高く、年齢とともに上昇した。1.2%はデバイス関連 UTI であった。原因不明の急性膀胱炎が症例の約 3 分の 2(63.5%)を占め、次いで腎盂腎炎(23.6%)および前立腺炎(12.4%)が多かった。4 分の 3 以上(76.8%)は、少なくとも 1 つの併存症を有していた。

 

結論

この全国コホート研究は、フランスにおける UTI 関連の入院の発生率を推定した、これまでで初の研究である。UTI は、医療に大きな負担をもたらしている。さらなる分析によって、UTI の各タイプと、その管理および転帰に関して、治療目標に関するより多くの情報に基づく議論のためのデータが提供されよう。

 

サマリー原文(英語)はこちら

 

監訳者コメント

NDB を用いて推計したフランスにおける尿路感染症によって入院した患者の疫学データ。尿路感染症に関する総説などで引用できそう。

 

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