フィンランドの病院 2 施設における排水によるルーチンの抗菌薬耐性モニタリング:カルバペネム耐性遺伝子および病院感染の原因菌と関連する遺伝子に焦点を置く★★

2021.11.30

Routine wastewater-based monitoring of antibiotic resistance in two Finnish hospitals: focus on carbapenem resistance genes and genes associated with bacteria causing hospital-acquired infections

J. Majlander*, V-J. Anttila, W. Nurmi, A. Seppälä, J. Tiedje, W. Muziasari
*Resistomap Oy, Finland

Journal of Hospital Infection (2021) 117, 157-164


背景

抗菌薬耐性サーベイランスにおいて排水によるモニタリングは有用な手段である。

 

目的

病院の排水における抗菌薬耐性遺伝子の頻度ならびに存在量を経時的に調査すること。

 

方法

2020 年夏季にフィンランドの病院 2 施設(HUS1、HUS2)の排水を週 1 回 9週間(第 25 週から第 33 週まで)モニタリングした。抗菌薬耐性 216 遺伝子、可動遺伝因子・インテグロン・病院感染症(HAI)原因菌と関連する遺伝子、ならびに16S rRNA 遺伝子を検出し、定量化するために、高性能リアルタイム PCR 法を用いた。高性能リアルタイム PCR のデータを新規のデジタルプラットフォーム ResistApp を用いて分析し、可視化した。8 つのカルバペネム耐性遺伝子(blaGES、blaKPC、blaVIM、blaNDM、blaCMY、blaMOX、blaOXA48、blaOXA51)と HAI 原因菌(アシネトバクター・バウマニー[Acinetobacter baumannii]、肺炎桿菌[Klebsiella pneumoniae]、緑膿菌[Pseudomonas aeruginosa])と関連する 3 つの遺伝子について検討した。

 

結果

第 27 週から第 30 週における抗菌薬耐性遺伝子の検出数(174 ~ 191遺伝子)は、それ以外の検体採取週での検出数(151 ~ 171遺伝子)と比較して 2 施設とも有意に多かった。分析により、2 施設では抗菌薬の使用量が異なっており、耐性遺伝子プロファイルが有意に異なることも示された。HUS1 では、カルバペネム耐性遺伝子の頻度および存在量が HUS2 よりも多かった。両施設全体で blaGES および blaVIM の頻度と存在量がもっとも多かった。また、HUS1 の排水中の blaKPC と肺炎桿菌との間に強い正の相関が認められた。

 

結論

ResistApp を用いた排水によるルーチンモニタリングは、院内の抗菌薬耐性遺伝子の頻度と存在量に関する有益な情報を提供しうる。これは、病院側が院内の抗菌薬耐性の蔓延について把握し、介入の潜在的な領域を特定するうえで有用である。

 

サマリー原文(英語)はこちら

 

監訳者コメント

排水のモニタリングは、施設毎の生活者感染の指標となることが疫学調査の領域で新型コロナウイルスやノロウイルスの研究において検討されている。医療関連感染の施設内のちゃんこ鍋的な検査として考えると理にかなっているかもしれない。本研究では、高速処理の可能な PCR 装置を用いて 216 もの耐性遺伝子の同時検出を試みている。

 

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