COVID-19 パンデミックが抗菌薬耐性のサーベイランスに及ぼす影響★

2021.11.30

Impact of the COVID-19 pandemic on the surveillance of antimicrobial resistance

A. Hirabayashi*, T. Kajihara, K. Yahara, K. Shibayama, M. Sugai
*National Institute of Infectious Diseases, Japan

Journal of Hospital Infection (2021) 117, 147-156


背景

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックが抗菌薬耐性(AMR)に及ぼす影響は大きな懸念となっている。

 

目的

COVID-19 パンデミック開始前後の抗菌薬耐性菌の分離患者数ならびに分離率を、包括的な国内サーベイランスデータを用いて比較すること。

 

方法

厚生労働省院内感染対策サーベイランス(Japan Nosocomial Infections Surveillance)プログラムにおいて収集した包括的なサーベイランスデータを使用した。このデータには、1,300 施設を超える病院の検査患者 590万例のサンプル計 1,670 万件が含まれた。黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)、大腸菌(Escherichia coli)、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)、ならびに緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)など 5 種類の細菌の抗菌薬感受性菌と抗菌薬耐性菌が分離された患者数と分離率を、2019 年と 2020 年の間で比較した。

 

結果

黄色ブドウ球菌とメチシリン耐性黄色ブドウ球菌の分離患者数と分離率はわずかに低下した。肺炎球菌とペニシリン耐性肺炎球菌の分離患者数と分離率は 60%低下し、第三世代セファロスポリン耐性肺炎桿菌の分離患者数と分離率は増加した。それ以外の細菌の分離患者数は減少したが、分離率は明らかに増加した。これは検査を受けた患者総数(分離率の分母)のかなりの減少に起因しており、この減少は患者実数の減少幅(分離率の分子)よりも大きかった。世界保健機関(WHO)Global Antimicrobial Resistance Surveillance System の手法で、同じデータを再集計した場合、一貫した結果が得られ、この問題の全般的な重要性が確認された。

 

結論

COVID-19 パンデミック期間中のサーベイランスデータは、分子、分母、ならびに分母に影響する背景因子の分析に基づき慎重に解釈しなければならない。

 

サマリー原文(英語)はこちら

 

監訳者コメント

日本の国立感染症研究所からの JANIS の耐性菌サーベイランスに関するコロナ禍の分離状況に関する報告である。欧米では、コロナ禍において医療関連感染の増加が報告されており我が国においてもその発生動向を注視する必要がある。

 

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