救急車表面における微生物汚染:文献のシステマティックレビュー

2022.04.20

Microbial contamination on ambulance surfaces: a systematic literature review

A.Obenza*, P. Cruz, M. Buttner, D. Woodard
*University of Nevada Las Vegas, USA

Journal of Hospital Infection (2022) 122, 44-59


医療関連感染症(HAI)は、患者が医療施設で治療を受けている期間に感染する感染症である。救急搬送中、患者は救急医療従事者または救急医療区画の表面から伝播する病原体に曝露される可能性がある。本稿の目的は、HAI と関連する頻度が高い微生物が、救急車の患者ケア区画の表面で検出されているか否かを明らかにすることである。PRISMA チェックリストに従い選択基準と除外基準を用いた論文を検索するために、5 つの電子データベース(PubMed、Scopus、Web of Science、Embase、Google Scholar)を用いた。選択基準は、2009 年から 2020 年に英語で発表された論文で、地上救急車の患者ケア区画から採取した陽性サンプルを有し、スワブサンプリングおよび/または Replicate Organism Detection and Counting(RODAC)接触培地のいずれかのサンプル採取法について報告するものとした。これらの基準を満たさない研究は今回のレビューから除外した。特定された計 1,376 報の論文のうち 16 報をレビューの対象とした。HAI と関連する微生物は、救急車の患者ケア区画の異なるさまざまな表面(血圧計のカフ、酸素装置、患者用ストレッチャーの各箇所)で検出される頻度が高かった。救急車における病原菌の発生率が高いことから、清掃遵守に関連する標準的プロトコールが有効ではない可能性が示唆される。主な推奨事項は、病院到着前の状況における連携役(リエゾン)、すなわち病院到着前(例えば救急搬送)と病院内環境における橋渡しを務める指定の感染予防の内容領域専門家を組み入れることである。

 

サマリー原文(英語)はこちら

 

監訳者コメント

救急車内の環境表面のリセット(バイオバーデンの除去)作業を誰がどのタイミングで実施されているのかが重要である。出動の合間に消防隊員がゆとりなく清掃・消毒を実施した場合、微生物負荷の残存のリスクが伴う。医療器具は整備済み品と交換し、室内環境は専従の清掃要員が実施すればもっと質の高い医療が提供できるかもしれない。

 

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