新生児室における保育器の除染に力を入れるべき理由- 英国GAMA Healthcare R&D からのブログ

2022 .06 .29

新生児室における保育器の除染に力を入れるべき理由

英国GAMA Healthcare R&D からのブログ
2022年5月30日の記事
研究/RESEARCH



新生児集中治療室(NICU)における汚染除去に関する最新のガイダンスについてご紹介します。正しい消毒剤を正しい方法で使用することで、環境汚染のリスクを低減することができるということを共有します。



先月、UKHSA*は、新生児集中治療室(NICU)における保育器やその他の新生児用機器の汚染除去に関する新しいグッドプラクティス・ガイダンスを発行しました。 このグッドプラクティス・ガイダンスは、多剤耐性ブドウ球菌のクローンが出現したことをきっかけに作成されました。 本ガイダンスは、新生児室における多剤耐性ブドウ球菌などのリスクを低減するために、患者の入院中および退院時に保育器を清潔に保ち、消毒するために必要な主要な手順について網羅しています。

*UKHSA(UK Health Security Agency):英国健康安全保障庁





S. capitis ( Staphylococcus capitis )は、「コアグラーゼ陰性ブドウ球菌」( CoNS )と呼ばれるグラム陽性菌の大きなグループの1つです。 CoNS は一般的に、感染症を引き起こす能力は低いと考えられています。しかし、NRCS-A と呼ばれる S. capitis の特定のクローンが、新生児感染症の原因として浮上しています。 S. capitis NRCS-A は、新生児治療に用いられる主要な第一選択薬剤を含む複数の抗生物質に耐性があります。 S. capitis は、他のブドウ球菌と同様に、乾燥した表面で長期間生存する能力があり、表面上の細菌が患者の感染しやすい部位に入り込み、感染症を引き起こすことが分かっています。



新生児の環境において保育器の効果的な洗浄と汚染除去は最大の課題の一つです。 保育器は複雑な設計で、多くの接触面(中にはアクセスが困難な面)があり、微生物を排出している可能性のある新生児と長時間接触することになります。 S. capitis は、ドアポートを含む様々な保育器表面の汚染と関連しています。 しかし、保育器だけでなく、S. capitis は、聴診器、毛布、その他の共有で使用する器具など、新生児環境の様々なものにも付着していることが確認されています。



本ガイダンスは、新生児保育器の洗浄・消毒の効果的な実施方法の原則に重点を置き、エビデンスが乏しいことを考慮したものです。 また、この原則は、新生児環境における他の物品の洗浄・消毒にも同様に適用されます。
主なガイダンスのポイントは以下の通りです。



Protocol:プロトコル

  • メーカーのガイダンスに注視して従うこと
  • 適切な洗浄剤および消毒剤を使用すること
  • 外部表面は毎日清掃し、接触部位は1日3回以上清掃すること
  • 患者が退院するとき、または患者が長期滞在する場合は7日ごとに隅々まで消毒を行うこと
  • きれいなところから汚れたところへ清拭する、S字に清拭する、同じところを二度清拭しないように気をつけるなど、適切な清掃方法を守ること




Resources:リソース

  • 保育器の汚染除去のために十分な時間とスペースが提供されるべきである
  • 他の保育器を十分に洗浄できるよう、また、急な使用にも対応できるよう、十分な数の保育器を用意する


Technique and training:技術およびトレーニング

  • スタッフは適切なトレーニングを受ける必要がある
  • スタッフへ手指の衛生管理と手袋の安全な使用を徹底する
  • 保護者とケアを行う人に、清潔な環境の重要性を認識させる


NICUの保育器やその他の機器の洗浄・消毒に使用される製品の効能を検討することも重要です。 Clinell Universalは、S. capitis を含む幅広い種類の微生物に対して幅広い効果を発揮します。 EN規格13727の汚染状態における試験では、Clinell Universalは15秒の接触時間で合格しました。 Clinell Universalなどの消毒ワイプの正しい使用方法に関する教育と組み合わせることで、NICUの保育器やその他の機器の洗浄・消毒を効果的に実施することができます



これらのポイントの中には、必ず実施しやすいものがあります。 正しい消毒剤の選択(効能と材料の適合性)と正しい使用方法(トレーニングによるサポート)に重点を置くことで、 新生児環境における環境汚染と S. capitis やその他の感染症の潜在的リスクを低減することができるのです。




Dr. Phillip Norville
Clinical & Scientific Director, GAMA Healthcare