APICカンファレンス2022のハイライト- 英国GAMA Healthcare R&D からのブログ

2022 .08 .02

APICカンファレンス2022のハイライト

英国GAMA Healthcare R&D からのブログ
2022年6月20日の記事
研究/RESEARCH



GAMAのクリニカルディレクター、Karen WaresとYvonne Carterがthe Association for Professionals in Infection Control and Epidemiology (APIC) 2022 カンファレンスのハイライトを紹介します。



The Association for Professionals in Infection Control and Epidemiology (APIC)のカンファレンスがインディアナポリスで開催されました。会議には、1,300人以上の感染予防専門家がリアル参加し、50周年を祝うために1,800人のバーチャルオーディエンスが参加しました。今年は、私Karen WaresとクリニカルディレクターのYvonne Carterが40以上のセッションに参加し、165以上の展示ブースを回り、73のポスター発表に目を通し、5km Race for Wellnessに参加しました。



リーダーシップ

オープニングセッションでは、感染予防と管理に携わるすべての人々に対して、またパンデミック時にもかかわらず行われた疲れ知らずのたゆまぬ業務への感謝が述べられました。また一方で、変化という困難な時期を乗り越えながら、新たな分野でリーダーシップを発揮することを奨励しました。基調講演では、元米国空軍大佐のDede Halfhill氏が、軍隊でのキャリアや、リーダーシップの核心となる「つながる」について語りました。『一般的な人は1日に35,000もの決断を下します、そのために自動操縦状態*になりやすいのです。多くの課題の中で、自動操縦状態にあると、「つながる」機会を逃してしまいます。私たちはチームと「つながる」必要があり、「つながる」ことは選択なのです』、彼女は強調します。また、彼女の講演では、脆弱性と他者の脆弱性を奨励することについても語られました。『脆弱性は、私がみなさんの中で最初に探すものであり、私の中では最後にみなさんに見せたいものです。でも、みなさんが自身の脆弱性を見せる時、それは「つながる」への早道なのです』。

*自動操縦状態(autopilot mode):意識的な意図や現在の瞬間の感覚的知覚の認識なしに行動する心の状態



洗浄と消毒

洗浄と消毒は、プレカンファレンスセッション、ポスター、長期介護に特化したセッションのいずれにおいても、プログラムの中で大きく取り上げられました。





まず、David Weber博士は、機器や環境表面上のバイオフィルムにフォーカスしたプレゼンテーションを行いました。Weberは、病院における乾燥表面バイオフィルム(dry-surface biofilms :DSBs)の増加と蔓延が新たな問題であることを提起しました。

関連研究:生存率の低下は、殺微生物剤に対するバイオフィルムの感受性を決定するのに十分であるか?

次に、社会的、経済的、政治的、気候的、技術的、環境的要因が疾患のパターンを形成し、発症に影響を与えること、そして疾患の発症を理解し対処するためには、概念的および地理的なグローバル視点が必要であることをWeber博士は提唱しました。現在の世界情勢は疾病の発症には有利であると総括しました。



「介護施設での死因のトップ5に感染症が入る」

次に、介護施設における医療関連感染(healthcare-associated infections : HCAIs)の感染における汚染環境の役割についてのセッションが行われました。Weberは、高齢化社会がもたらす深刻な問題と、感染症が介護施設における死因のトップ5に入ること、予防可能な死因の中ではさらに上位にランクされていることを強調しました。MDROs(MRSA、VRE、ESBLs、CRE、C. difficile)のコロニー形成と感染は、介護施設入居者にはよく見られることです。

介護施設におけるMDROsのコロニー形成および感染予防は、以下のような理由でおそらく不利な状況にあると思われます



  • 訓練を受けた感染予防者(IPs)と介護施設の清掃サービスの欠如
  • 短期間でのスタッフの離職
  • COVID19パンデミック
  • 高リスクの患者(合併症あり、高齢、留置デバイス、など)
  • 長期滞在
  • 終末消毒が頻繁に行われない共有ルームと共用エリア


Weberは、スタッフへの充実した内容の教育を伴う限定バンドル新しい消毒法(例えば、長時間作用する表面消毒剤)にフォーカスした研究を継続し、感染予防のための財源を増やすことが不可欠であることを提言しました。 Curtis Donskey博士のセッションでは、床、携帯機器、衣類、水道設備がフォーカスされました。Donskeyは、医療関連感染の病原体の感染源として過小評価されている病院の床をもっと詳しく調べること、床から患者の手に、そして触れる機会の多い表面への交差伝播のエビデンスが増えつつあることシンクは感染の温床であること、これらを聴講者に呼びかけました。

伝播を軽減させるためのキーは換気

Linda Lee氏、Maureen Spencer氏、Kathy Warye氏の3人は、換気に関するディスカッションに挑みました。ほとんどのIPスタッフは空中生物学(aerobiology)には精通しておらず、換気はこれまで主に工学の領域であると認識していました。主要な規制当局がより厳格な空気衛生基準を承認し、新しい技術が市場に参入するにつれて、感染予防者(IPs)には、彼らの施設がより機能的になるよう支援することが求められるでしょう。

しかしながら、こうしたエビデンスギャップにもかかわらず、換気が感染を軽減する上で重要な役割を果たすという点は、専門家の間で一致しています。患者が新たに急増するたびに、この能力・性能を再認識する必要がありました。正確なウイルス粒子径や時間要求(time claim)などは、特にこれらに対する試験に基づくエビデンスではなく、主に試験による「カットオフ」値や試験の「期間」に基づいていることをディスカッションしました。また、換気方法の違いや、換気方法の違いが医療機器の汚染に与える影響にもフォーカスが当てられました。

また、表面汚染や空気汚染が汚染量に与える影響についても触れました。特に、沈殿と再懸濁、接触、脱落、咳などのメカニズムにフォーカスを当てました。コンタクトあるいは沈降プレートに関するエビデンスでは、呼吸器系ウイルス感染症の歴史は、アウトブレイク蔓延がより頻繁になっていることを証明しており、次もまたすぐそこにあるだろうと結論づけています。

関連記事:開けたままにして換気しましょう:コロナ禍でホワイトハウスが空気をきれいにしている理由



サル痘(Monkeypox)

Alex Isakov氏とJill Holdsworth氏によるlate breaking sessionは、当然といえばその通りでサル痘に関するものでした。サル痘は、現在のSARS-CoV-2変異株よりも感染力が弱く、COVID-19よりも識別が容易(特徴的な発疹など)で、症状は発熱、悪寒、特徴的な発疹、新しいリンパ節腫脹などが典型的であると考えられています。しかしながら、自覚的な発熱を伴わない肛門周囲や性器病変での発症が報告されています。このセッションの時点(6月14日)では、サル痘およびオルソポックスウイルスのアウトブレイクグローバルマップは1,678例となっています。サル痘はまれであり、濃厚な接触を伴わない人々の間では容易に広がらないことが改めて強調されました。サル痘の脅威は、一般的な人々では低いと考えられます。



拒絶反応を克服する

6月14日(火)の基調講演では、Rejection Therapy(拒絶への恐怖を克服する人達のためにインスピレーション、知識、製品を提供するウェブサイト)のオーナーであるJia Jiang氏が、聴衆が恐怖を克服して次のレベルへ進むための手助けをしました。拒絶は、『単なる数字ゲーム』だとJiangは考えています。「イエスがもらえなければ、十分な数の人と話をしなかったということです。拒絶は拒絶した人の意見に過ぎません。」 私たちは、拒絶がすべて自分のことだと信じるようにプログラムされており、そのために拒絶は自分という人間を非難しているように感じられるのです。彼は、100日間拒絶され続けた経験から多くの事例を紹介し、自分を抑えなければどれだけパワフルな人間になれるかを教えてくれました!笑い、涙すること請け合いです。



来年オーランドで開催されるAPIC2023でお会いしましょう。以上、ハイライトをお届けしました。イベントの模様は、APIC2022サイト、関連SNSをフォローしてください。

Karen Wares Clinical Director, GAMA Healthcare

Yvonne Carter Clinical Director, GAMA Healthcare