JHIサマリー日本語版 2026年9月号、 33報の最新論文サマリーを掲載中
JHIサマリー日本語版2026年9月号のサマリーを更新たしました。運営チームおすすめの記事とともにご紹介いたします。
本号には以下を含む33報もの興味深い論文サマリーが掲載されています。
◆綿製ベッドシーツを介した乾燥表面バイオフィルムの伝播:病院の感染制御に対する影響★★
Transmission of dry surface biofilm via and through cotton bedsheets: implications for hospital infection control / D. Chowdhury, et al.
綿製ベッドシーツを介した乾燥バイオフィルムの伝播リスク、特に湿潤状態での高い伝播性が示されました。病原体の伝播を軽減するため、清掃の徹底、頻繁なシーツ交換、高密度なシーツの使用の必要性が浮き彫りになっています。
◆緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)に汚染された集中治療室のシンク排水口に対するバチルス属による生物学的制御戦略:概念実証研究★★
Bacillus-based biocontrol strategy for Pseudomonas aeruginosa—contaminated intensive care unit sink drains: a proof-of-concept study / P.U. Valladares, et al.
ICUシンク排水トラップの緑膿菌汚染に対するバチルス属菌製剤を用いた生物学的制御の有効性を検証した研究です。シンクトラップの交換や製剤投与を実施したものの汚染が持続し、乾燥表面とは異なり、本手法の効果は認められませんでした。
◆グラム陰性菌血流感染症の発生率および抗菌薬耐性(AMR)の傾向の集中治療室とその他の病棟の比較:全国サーベイランスおよびデータ連結研究、イングランド、2017 年から 2024 年★★
Trends in incidence and antimicrobial resistance of Gram-negative bloodstream infections in intensive care units vs other hospital wards: a national surveillance and data linkage study, England, 2017—2024 / Matthew J. Wilson, et al.
ICUにおけるグラム陰性菌血流感染症の特徴を分析した研究です。特に緑膿菌において、カルバペネム耐性をはじめとする複数の抗菌薬の耐性率が非ICU病棟発症例よりも高いことが示されました。
◆外傷患者に対する非滅菌インプラントの移植後における管理および意思決定★★
Management and decision-making after implantation of a non-sterilized implant in a trauma patient / L. Tondeur, et al.
未滅菌プレートを誤留置した症例を通じ、滅菌エラー時の意思決定フレームワークを提案した研究です。複数の安全対策の違反が判明した本事例は、チェックリストへの組み込みなど、滅菌不備に対する標準化プロトコールの必要性を強調しています。
◆カンジダ・アウリス(Candida auris)に対する消毒薬の効果は、クレード特異的な耐性ではなく製剤および濃度によって決まる★
Disinfectant efficacy against Candida auris is driven by formulation and concentration rather than clade-specific resistance / S. Omardien, et al.
カンジドザイマ・アウリス(旧称カンジダ・アウリス/C. auris)のクレード間、ならびにカンジダ・アルビカンス(C. albicans)との消毒薬感受性の違いを評価しました。C. aurisは C. albicansと同等の感受性を示し、消毒効果はクレードの差異よりも、製剤や濃度、接触時間に依存することが明らかになりました。
◆脊椎手術における手術部位感染症:1,578 例の手術を対象とした後向き研究において手術部位感染症に関連する新たなリスク因子として入れ墨のある皮膚が特定された★
Surgical site infections in spine surgery: a retrospective study of 1,578 procedures with identification of tattooed skin as a novel risk factor associated with surgical site infection / K. Mostofi, et al.
脊椎手術における切開部の入れ墨が手術部位感染(SSI)へ及ぼす影響を評価した研究です。手術部位に入れ墨のある皮膚はSSI発症リスクの上昇と有意に関連し、リスクは約3倍となりました。
◆長期急性期ケアリハビリテーション病院におけるカルバペネマーゼ産生腸内細菌目細菌の入院時の能動的サーベイランスを目的とした現場迅速スクリーニング:高流行環境下における 4 年間の経験★
Rapid near-patient screening for active surveillance of carbapenemase-producing Enterobacterales at admission in a long-term acute care rehabilitation hospital: a 4-year experience in a high-endemicity setting / C. Grifoni, et al.
カルバペネマーゼ産生腸内細菌目細菌(CPE)高蔓延施設において、入院時の迅速診断検査の効果を検証しました。院内獲得CPE保菌の発生率の低下に加え、不要な予防的隔離の削減に有用であることが示されました。
◆臨床環境において排水システムからカルバペネマーゼ産生腸内細菌科細菌および多剤耐性病原体を除去するために使用される排水管除菌法のシステマティック比較レビュー
A systematic comparative review of drain decontamination methods used to remove carbapenemase-producing Enterobacteriaceae and multi-drug-resistant organisms from drainage systems in the clinical environment / E. Waldock
排水システムにおけるカルバペネマーゼ産生腸内細菌目細菌(CPE)の効果的な除菌法に関するレビューです。化学消毒や熱消毒による効果は一時的であり、アウトブレイク時のバンドルアプローチや、病室からのシンク撤去などの有用性が示唆されました。
また、9月号には日本の医療機関・研究グループからの論文サマリーが1報ありました。
◆新生児集中治療室に何年間も持続的に存在するメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)クローンの長期のゲノム系統学的追跡(九州大学)
Longitudinal phylogenomic tracking of methicillin-resistant Staphylococcus aureus clones persisting over years in a neonatal intensive care unit / Tatsuya Miyata, et al.
九州大学からの報告です。NICUで分離されたMRSAを対象に全ゲノム解析を実施した結果、同一クローンが長期間持続的に分離され、入院期間の重ならない患児間でも検出されました。未特定のリザーバーや反復的な再持ち込みが関与している可能性が示唆されます。
その他、更新されたサマリーはこちらよりご参照ください。
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