「第99回⽇本感染症学会総会・第73回⽇本化学療法学会総会合同学会」にて、代表・草場がシンポジウムに登壇しました

2025年5月8日(木)~10日(土)、パシフィコ横浜で開催された「第99回日本感染症学会総会・第73回日本化学療法学会総会 合同学会」において、感染対策に特化した製品とコンサルティングを提供するモレーンコーポレーション(以下、モレーン)の代表・草場恒樹が、シンポジウム「自然災害と感染症」に登壇いたしました。
自然災害時における感染制御物資の物流課題を提起
草場は「被災地におけるロジスティクスの課題」をテーマに、東日本大震災以降、モレーンが日本環境感染学会災害時感染制御支援チーム(DICT)企業メンバーとして取り組んできた災害支援の経験をもとに、災害時に発生する感染制御物資の物流課題とその解決策について講演しました。
被災地で浮かび上がる7つの課題
日本は地震や津波、豪雨など大規模な自然災害が多発する国であり、感染制御物資の円滑な供給が人命を守るうえで極めて重要です。しかし、実際の現場では以下のような深刻な課題が生じています。
1.交通インフラの寸断
道路・鉄道・港湾の損壊により物資搬送が困難となり、発災直後には交通手段そのものが機能不全に。
2.上下水道の停止
手洗いやトイレの使用が制限され、衛生状態が悪化。水を使わない感染対策資材の迅速な供給が求められる。
3.物資の不足と偏り
必要な物資が不足する一方で、サイズや種類の不統一があり現場で混乱が発生。
4.物流拠点の被災
倉庫や医療施設の備蓄が使用不能となり、新たな供給が必要となるケースも。
5.燃料不足
ガソリンや軽油などが確保できず、配送車の稼働に制約が生じ、物資が届かない。
6.行政・支援団体間の連携不足
調整の不備により、供給の非効率化や管理体制の混乱が見られる。
7.不適切な物資の流通
効果のエビデンスが不十分な物資が出回ることで、かえって健康を損なうリスクが高まる場合も。
課題解決に向けた具体策

これらの課題に対し、草場は以下のような対応策の必要性を提言しました。
・備蓄と分散配置の強化
発災直後から1週間は外部支援に頼らず対応できるよう、各自治体において備蓄拠点を保健所や医療機関に分散配置し、複数の供給ルートを確保する体制の整備が求められる。
・デポ(現地保管集積所)の確保および管理体制の構築
メーカー等から届いた支援物資を現地で一元管理するためのスペースおよび管理体制が求められる。
・官民連携による平時からの備え
国・自治体と企業が平時から協定を結び、必要な感染制御物資を計画的にストックすることが重要。
・輸送手段の多様化
陸路・海路の寸断に備え、ドローンなどを活用した新たな輸送手段の導入も検討すべき。
・物流のデジタル化
避難所の感染状況や在庫情報をリアルタイムで可視化・一元管理できるシステムの整備が今後の鍵となる。
モレーンの使命として
自然災害時の感染制御物資の物流には、依然として多くの課題が残されています。
モレーンは東日本大震災(2011年3月)をきっかけに、社内に災害支援チームMDAT(Moraine Disaster Assistance Team)を発足させました。

「大規模自然災害時に被災者が感染でさらに苦しむことを許してはならない」という強い思いで、その後の大規模災害時には毎回、チームを派遣しています。
今回の登壇では、モレーンとしての経験と知見を共有し、あらためて社会全体での課題認識と対策の重要性を発信する機会となりました。
モレーンは今後も、現場に寄り添う感染対策の専門企業として、備蓄提案・製品開発・支援体制の構築を通じ「安心」と「安全」を届けるための取り組みを続けてまいります。